特別支援学校卒業後の生活はどうなる?親子で読む準備の手引き

特別支援学校卒業後の生活はどうなる?親子で読む準備の手引き 就労継続支援(A型・B型)

「特別支援学校を卒業した後、わが子は本当に働けるのだろうか」

進路説明会の帰り道、ふとそんな不安を持つことはありませんか?

夜、お子さんが寝静まった後に「特別支援学校 卒業後 就職」と検索窓に打ち込み、

さまざまな情報に一喜一憂してしまう……。

そのお気持ち、よく分かります。

私は愛知県岡崎市にある「岡BASE ピーシーラボ」という就労継続支援B型事業所です。

ここでは、PC専門店「PC堂」グループのノウハウを活かし、パソコン作業を通じて多くの卒業生が社会へ羽ばたく姿を間近で見てきました。

この記事では、現場の視点から「特別支援学校卒業後の就職の現状」や「具体的な進路」、そして「今からできる準備」をお伝えします。

最初に結論をお伝えすると、

「就職」だけがお子さんの幸せの正解ではありません。

大切なのは、お子さんの「今」に合った場所を選び、そこをご自身のペースで進んでいくことです。

この記事が、お子さんに合った道を一緒に見つけるための、役に立つ「ガイド」になれば幸いです。

羽柴太一

就労継続支援B型事業所 岡BASE 代表の羽柴です。保育士資格幼稚園教諭一種小学校教諭一種のバックグラウンドを持ち、教育・福祉の観点から利用者様一人ひとりの可能性を広げる支援を統括しています。また、社会教育主事として地域社会との連携を深めつつ、第二種電気工事士の技術を活かした実践的な作業指導や環境づくりも牽引。ソフト・ハード両面から、誰もが安心して活躍できる場所づくりに尽力しています。

羽柴太一をフォローする
  1. 特別支援学校の就職の現状|データで見る卒業後の進路割合
    1. 高等部卒業生の就職率と推移
    2. 就職率が障害種別や地域で異なる理由
  2. 特別支援学校からの就職は本当に難しいのか
    1. 就職が難しいと言われる3つの理由
    2. B型から一般就労へ|段階的にステップアップする道がある
  3. 特別支援学校卒業後の進路は5つ|特徴と収入を比較する
    1. 5つの進路の特徴・対象者・収入を一覧で比較
    2. 一般企業への障害者雇用枠で働く
    3. 就労移行支援で就職に向けた訓練を受ける
    4. 就労継続支援A型で雇用契約を結んで働く
    5. 就労継続支援B型で自分のペースから始める
    6. 生活介護で日中活動の場を確保する
  4. わが子に合う進路の選び方|障害の程度別おすすめパターン
    1. 軽度の場合|一般就労やA型を中心に検討する
    2. 中度の場合|B型や就労移行支援から始める
    3. 重度の場合|生活介護やB型で社会参加の土台を作る
    4. 卒業後の1日を比較する|一般就労とB型のリアルな生活スケジュール
  5. 特別支援学校の就職準備|高等部3年間のロードマップ
    1. 3年間のスケジュール目安
    2. 1年生で知る|進路の選択肢と事業所見学
    3. 2年生で体験する|現場実習で自分に合う場所を探す
    4. 3年生で決める|進路決定から利用開始までの手続き
  6. 保護者が今からできる3つの行動
    1. 家庭で生活スキルを練習する|就労成功者に共通する力
    2. 事業所の見学・体験に行く|確認すべき5つのポイント
    3. 相談支援専門員と早めにつながっておく
  7. 特別支援学校の就職に関する相談窓口と経済的支援
    1. 就職の相談ができる3つの公的窓口
    2. B型工賃と障害年金を組み合わせた収入シミュレーション
  8. 保護者同士でつながれる!「サービス管理者と話せるコミュニティー」
    1. コミュニティの特徴
    2. コミュニティで得られる「4つの重要なポイント」
    3. これまでの開催報告(Vol.1)
  9. 特別支援学校の就職に関するよくある質問
    1. Q1. 知的障害が重くても働ける場所はある?
    2. Q2. 卒業すると何が変わるの?(相談先・法律)
    3. Q3. 障害者手帳がないと福祉サービスは使えない?
    4. Q4. 就職してすぐ辞めてしまったらどうなる?
  10. 特別支援学校の就職はゴールではなく新しいスタート

特別支援学校の就職の現状|データで見る卒業後の進路割合

データから見る「就職の今」を紐解きます。

「就職は難しいらしい」

「みんなA型に行くんでしょう?」

そんな漠然としたイメージや不安をお持ちの方も多いかもしれません。

進路を考える上で大切なのは「感覚」ではなく「事実」を知ることです。

まずは文部科学省の最新データをもとに、特別支援学校卒業後の進路の数字を見ていきましょう。

現状を正しく知ることで、冷静な判断の土台を作ることができますよ。

  • 高等部卒業生の就職率と推移
  • 就職率が障害種別や地域で異なる理由

高等部卒業生の就職率と推移

特別支援学校(高等部)を卒業したあと、どのくらいの生徒が企業へ就職しているのでしょうか。

文部科学省の学校基本調査などのデータを見ると、近年の就職率は約30%前後で推移しています。

「半分以上の子は就職できないの?」

そう思われるかもしれませんね。

でも、ここ10年ほどの推移を見ると、以前は20%台だった時期もありました。

障害者雇用促進法の改正や法定雇用率の引き上げなどに伴い、企業就労への道は少しずつ広がっています。

そして大切なのは、この数字はあくまで「卒業と同時に一般企業へ就職した」割合だということ。

福祉サービス(就労移行支援や就労継続支援など)を利用して力をつけてから就職する人も含めれば、社会で活躍されている方の割合はもっと高くなります。

また、障害種別によっても傾向は異なります。

知的障害のある生徒の場合、職業教育に力を入れている学校も多く、比較的就職率が高い傾向にあります。

一方、肢体不自由や病弱の学校では、進学や医療的ケアを含む福祉サービスの利用が中心となることが一般的です。

「就職率はゼロではないけれど、全員が当たり前に就職できるわけでもない」

これが、数字から見える一つの現実です。

それぞれのペースで、社会に出る道は必ず用意されています。

就職率が障害種別や地域で異なる理由

では、なぜ就職率にはばらつきがあるのでしょうか。

「うちの子の学校は就職率が低いからダメだ」

なんて、自分を責めたりしないでくださいね。

そこには数字の裏にある、構造的な理由があるからです。

大きな要因は以下の2点です。

1. 障害の特性と必要な支援の違い

知的障害の特別支援学校では、軽作業や実習を中心としたカリキュラムが組まれていることが多く、

企業就労に向けた準備が進めやすい傾向にあります。

一方で、重度の障害がある場合や医療的ケアが必要な方の場合は、

まずは「生活介護」などの福祉サービスを利用し、日中の安定した生活基盤を作ることが優先されます。

これは「就職できない」のではなく、

「今は生活を整える時期」という、お子さんにとっての適切な判断の結果なんです。

2. 地域による求人の差

残念ながら、都市部と地方では障害者雇用の求人数に差があるのが現状です。

公共交通機関が発達し、企業の多い都市部では通勤もしやすく、職種も多様です。

一方、地方では車通勤が必須だったり、製造業など特定の職種に求人が偏ったりすることがあります。

また、学校の進路指導の方針(まずは就労移行支援を通して定着を目指す方針など)によっても、

卒業直後の就職率は変わってきます。

大切なのは、「平均値」だけを見て一喜一憂しないこと。

数字はあくまで全体の傾向です。

お子さんが毎日笑顔で過ごせる場所がどこなのか、その視点を一番に考えていきましょう。

特別支援学校卒業後の進路については「特別支援学校の高等部卒業後の進路は?就職率や就労支援の種類・選び方のポイントを解説」で解説しておりますため、ご覧ください。

特別支援学校からの就職は本当に難しいのか

「難しい」と言われる理由と、その先にあるステップについて解説します。

検索画面に「特別支援学校 就職 難しい」という言葉が並ぶのを見ると、不安になりますよね。

現場にいる私がお答えすると、

「難しい側面があるのは事実。でも、いきなり一般就労だけが道ではない」

というのが正直なところです。

なぜ「難しい」と言われるのか、その理由を直視しつつ、

実はその先にある着実なステップについても知っていただきたいと思います。

  • 就職が難しいと言われる3つの理由
  • B型から一般就労へ|段階的にステップアップする道がある

就職が難しいと言われる3つの理由

一般的に「就職が難しい」とされるのには、主に3つの理由があります。

  • 求人と本人の特性のミスマッチ

    企業が求めるスピードやマルチタスクと、お子さんの得意な作業ペースにズレがある場合、実力を発揮しにくくなります。

  • 職場定着の難しさ

    就職しても、約30%の方が1年以内に離職するというデータがあります。仕事内容よりも、人間関係や環境変化のストレスが主な原因です。

  • コミュニケーションと環境適応の壁

    「困った時に相談できない」「独自ルールへのこだわり」などが、職場での孤立を生むことがあります。学校という守られた環境とのギャップは想像以上に大きいものです。

B型から一般就労へ|段階的にステップアップする道がある

これらを聞いて「やっぱり無理なんだ」と諦めないでください。

ここからが一番お伝えしたいことです。

「卒業=すぐに一般企業でなければならない」という決まりはありません。

いきなり高いハードルを飛ぼうとして挫折してしまうより、

まずは確実に超えられる高さからスタートし、自信をつけてから次へ進む段階的なルートがあります。

私たちが運営する「岡BASE」の例をお話ししますね。

ステップアップの一例

  1. 「就労継続支援B型」で働く基礎と体力をつける
  2. 「就労継続支援A型」「就労移行支援」で実践的なスキルを磨く
  3. 「一般就労(障害者雇用)」へチャレンジする

このステップを踏むことで、着実に社会で生きる力を身につけられるでしょう。

「遠回りに見えて、実は一番の近道だった」という人は本当に多いのです。

岡BASEでは、パソコンの解体清掃作業など、現代社会でニーズの高いスキルをじっくり学べます。

「まずは好きなことから始めて、自信をつけたい」

そう思われたら、一度事業所を覗きに来てみませんか?

私たちはいつでも、あなたを待っています。

岡BASEではPC専門のスキル習得を通じて、将来のA型・一般就労で武器になる技術が身につきます。まずは見学で雰囲気を確かめてみませんか → 無料見学・体験のご予約はこちら

就労継続支援B型の詳細は「就労継続支援B型とは?仕事内容から工賃、A型との違いも分かりやすく解説」で解説しておりますため、ご覧ください。

特別支援学校卒業後の進路は5つ|特徴と収入を比較する

5つの主な進路について、対象者や収入の違いを比較します。

「じゃあ、具体的にどんな進路があるの?」

ここからは、卒業後の主な5つの進路について解説します。

お子さんの現在の状態や目標に合わせて選べるよう、それぞれの違いを整理しました。

「就職」という言葉にとらわれすぎず、広い視野で見ていきましょう。

きっと、お子さんに合う場所が見つかるはずです。

  • 5つの進路の特徴・対象者・収入を一覧で比較
  • 一般企業への障害者雇用枠で働く
  • 就労移行支援で就職に向けた訓練を受ける
  • 就労継続支援A型で雇用契約を結んで働く
  • 就労継続支援B型で自分のペースから始める
  • 生活介護で日中活動の場を確保する

5つの進路の特徴・対象者・収入を一覧で比較

まずは全体像を把握しましょう。

主な5つの進路を比較表にまとめました。

進路 雇用契約 収入の目安(月額) 特徴・こんな方におすすめ
一般就労(障害者雇用) あり 約15万円〜 企業で働く。一定のスキルと体力、コミュニケーション力があり、自立を目指す方。
就労移行支援 なし 原則なし 就職のための学校のような場所。2年以内に一般就労を目指して集中トレーニングしたい方。
就労継続支援A型 あり 約8.3万円〜 スタッフのサポートを受けながら、雇用契約を結んで働く。一般就労へ向けたステップアップとして。
就労継続支援B型 なし 約2.3万円〜 雇用契約は結ばず、自分のペースで作業する。体調や精神面に不安があり、無理なく社会参加を始めたい利用者さん。
生活介護 なし なし(工賃が出る場合も) 日中の活動支援が中心。食事や排泄の介護が必要な方や、創作活動・レクリエーションを通じて穏やかに過ごしたい方。

※収入はあくまで平均的な目安です。

一般企業への障害者雇用枠で働く

一般企業の「障害者雇用枠」で採用され、社員やパートとして働くスタイルです。

法定雇用率の引き上げにより、求人数は増加傾向にあります。

  • メリット:最低賃金保証、社会保険加入が可能で、経済的自立に最も近いです。
  • 課題:求められるスキル・マナーレベルが高く、自己責任での体調管理が必要です。

長く働き続けるためには、企業の理解だけでなく、

「ジョブコーチ」などの定着支援制度をうまく活用することが重要となります。

就労移行支援で就職に向けた訓練を受ける

「今はまだ自信がないけれど、将来は絶対に一般企業で働きたい」

という方のための、期間限定(最大2年間)のトレーニング施設です。

内容

ビジネスマナー、PCスキル、面接練習、企業実習など。

特徴

ここで直接お給料をもらうわけではありませんが、就職率は高く、定着支援も手厚いのが特徴です。

ここを経由して、しっかり準備をしてから就職する卒業生も増えています。

利用料は所得によって異なりますが、多くの方は無料で利用されています。

就労継続支援A型で雇用契約を結んで働く

「特別支援学校卒業後すぐに一般企業は不安だけど、しっかり働いてお給料もほしい」

という方に選ばれているのがA型事業所です。

特徴

事業所と雇用契約を結ぶため、最低賃金が保証されます。

違い

一般企業に近い環境ですが、福祉スタッフが常駐しており、困ったときにすぐ相談できる安心感があります。

平均月収は約8.3万円。

週20時間以上の勤務が基本となるため、毎日決まった時間に通える体力が必要です。

A型とB型の違いについては「就労継続支援A型B型の違いがわからない方向け!給料や仕事内容を比較してどちらが向いているか判断できるポイントを解説」で解説しておりますため、ご覧ください。

就労継続支援B型で自分のペースから始める

「毎日決まった時間に通うのはまだしんどい」

「まずは家から出る習慣をつけたい」

という方には、B型事業所がおすすめです。

特徴

雇用契約を結ばないため、ノルマや厳しい労働時間の縛りがありません。

「週1回、午前中だけ」といった柔軟な通い方が可能です。

岡BASEでは、220円から昼食(お弁当)を提供しており、バランスの良い食事を食べられます。

美味しい食事は、毎日の通所への大きなモチベーションになりますよね。

作業内容

カフェ、パン作り、部品加工、農作業など、事業所によって千差万別です。

工賃(お給料のようなもの)は全国平均で月額23,053円(令和5年度実績)ですが、

自分のペースで社会とつながり、役割を持てることは大きな自信になります。

岡BASEは、PC専門店が運営するちょっと珍しいB型事業所です。

「パソコンが好き」「ゲームが好き」というきっかけから、

パソコン修理やデータ入力、WEBデザインなど、将来の就職に直結する専門スキルを身につけている利用者さんがたくさんいます。

例えば、商品の清掃作業では、専用の道具を使ってパソコンをピカピカに仕上げます。

「見違えるほど綺麗になった!」という達成感がすぐに得られるので、職人気質の方にも人気です。

また、梱包作業では、次に使う人のことを想いながら丁寧に商品を包んでいきます。

「ありがとう」に繋がる、やりがいのあるお仕事です。

見学は無料。送迎もおこなっていますので、ぜひ一度「好きなこと」が仕事になる現場を覗いてみてください。

岡BASEの作業内容と雰囲気を見てみる →

B型の工賃については「就労継続支援B型工賃(賃金)はいくら?平均額や仕組み、高い事業所の特徴を解説」で解説しておりますため、ご覧ください。

生活介護で日中活動の場を確保する

障害の程度が重く、常時の介護や見守りが必要な方のためのサービスです。

「働く」ことよりも、創作活動やレクリエーション、リハビリなどを通じて、

日中を穏やかに、楽しく過ごすことを目的としています。

「就職できないからダメ」ではありません。

ご本人が安心して笑顔で過ごせる居場所を確保することは、

ご家族にとっても、ご本人にとっても、かけがえのない大切な選択です。

わが子に合う進路の選び方|障害の程度別おすすめパターン

障害の程度に合わせた進路選びの目安と、生活リズムの違いを紹介します。

5つの進路を見て、「うちの子にはどれが合うのかしら」と迷われた方もいるかもしれません。

お子さんに最適な進路は、障害の程度や特性によってある程度の「パターン」があります。

もちろん個人差はありますので、一つの目安としてご覧ください。

  • 軽度の場合|一般就労やA型を中心に検討する
  • 中度の場合|B型や就労移行支援から始める
  • 重度の場合|生活介護やB型で社会参加の土台を作る
  • 卒業後の1日を比較する|一般就労とB型のリアルな生活スケジュール

軽度の場合|一般就労やA型を中心に検討する

日常生活がある程度自立しており、コミュニケーションも比較的スムーズな場合。

まずは一般就労(障害者雇用)を第一候補として考えます。

ただ、いきなり企業に入ることに不安がある場合は、

就労移行支援でトレーニングを積んだり、A型事業所で働く経験をしてからステップアップするルートも非常に有効です。

学校の先生と相談しながら、高等部の実習で一般企業と福祉事業所の両方を体験し、

本人の感想を聞いて総合的に判断しましょう。

中度の場合|B型や就労移行支援から始める

「作業能力はあるけれど、対人関係や環境変化に弱い」

「毎日通う体力が心配」

という場合。

無理をしてA型や一般就労を目指すよりも、B型事業所で基礎力を養うことをおすすめします。

「焦らず、本人のペースで自信をつける」ことが、長い目で見たときの就労継続への近道です。

特に、本人が「楽しい」と感じられる作業内容がある事業所を選ぶことが、継続のカギとなります。

例えば、岡BASEのHDD解体作業は、工程が少なく、集中して取り組めるため、

「パズル感覚で楽しい!」と黙々と作業される方も多いですよ。

重度の場合|生活介護やB型で社会参加の土台を作る

常時の見守りが必要な場合。

生活介護での日中活動を中心としつつ、

体調が良いときは週1〜2日B型事業所に通うという併用スタイルも可能です。

「働く」という形ではなくても、

「社会とつながる」「家庭以外の居場所を持つ」こと自体が、お子さんにとって大きな成長の機会になります。

「就職できない=失敗」では決してありません。

卒業後の1日を比較する|一般就労とB型のリアルな生活スケジュール

「働く」といっても、その生活リズムは全く異なります。

一般的なフルタイム勤務と、B型事業所を利用する場合の1日のスケジュールを比較してみましょう。

時間 一般就労(例) B型利用(岡BASEの例)
7:00 起床・準備 起床・準備
8:00 出勤(電車・バス)
9:00 始業・朝礼 自宅へ送迎車がお迎え
10:00 業務(緊張感あり) 作業(自分のペース)
12:00 休憩(45〜60分) 昼食・休憩(仲間と交流)
13:00 業務再開 作業再開
15:00 業務 帰りの会・送迎車で帰宅
16:00 業務 自由時間・余暇
17:00 終業・帰宅 夕食・入浴準備
18:00 帰宅(残業の場合も) 夕食

一般就労は拘束時間が長く、通勤の負担もあります。

一方、B型は送迎がある場合が多く、実働時間も短いため、体力的・精神的なゆとりを持ちやすいのが特徴です。

お子さんの体力に合わせて、無理のない生活リズムを選んであげてくださいね。

特別支援学校の就職準備|高等部3年間のロードマップ

高等部の3年間で、いつ何をするべきかを学年ごとに解説します。

「いつから何を始めればいいの?」

高校生活はあっという間です。

卒業間際に慌てないよう、3年間の大まかな流れを知っておきましょう。

見通しを持つだけで、不安はぐっと減るはずです。

  • 1年生で知る|進路の選択肢と事業所見学
  • 2年生で体験する|現場実習で自分に合う場所を探す
  • 3年生で決める|進路決定から利用開始までの手続き

3年間のスケジュール目安

学年 テーマ 主な活動内容
1年生 知る ・進路説明会への参加
・地域事業所の合同説明会、見学
・「好き」「得意」の観察(家庭でのお手伝いなど)
2年生 体験する 現場実習(校外実習)への参加
・企業、A型、B型など複数の場所を体験してみる
・実習後の本人の様子(表情、疲れ具合)をチェック
3年生 決める 夏〜秋:進路先の最終決定・内定
:受給者証の申請手続き
:利用契約、新生活スタート

1年生で知る|進路の選択肢と事業所見学

1年生は「情報収集」の時期です。

学校主催の進路説明会には必ず参加し、どんな進路があるのか全体像を把握しましょう。

また、地域にある福祉事業所が合同で開催する説明会や、個別の見学にも積極的に足を運んでみてください。

「まだ早い」ことはありません。

2年生で体験する|現場実習で自分に合う場所を探す

2年生になると、校外での「現場実習」が本格化します。

これは、企業や福祉事業所で実際に数日間〜数週間働いてみる体験です。

ポイントは、複数の異なるタイプの場所(企業、A型、B型など)を体験することです。

実習期間中は、お子さんの帰宅後の様子をよく見てあげてください。

「疲れているけど楽しそう」ならOKですが、

「表情が暗い」「朝起きられなくなった」ときは、その環境が合っていない可能性があります。

3年生で決める|進路決定から利用開始までの手続き

3年生の夏〜秋頃には、卒業後の進路を最終決定します。

福祉サービスを利用する場合は、自治体への申請手続き(受給者証の発行)が必要です。

手続きは複雑に見えますが、学校の進路担当の先生や相談支援専門員がサポートしてくれますので、相談しながら進めれば大丈夫です。ご安心ください。

流れについては「就労継続支援B型利用までの流れ(手順)は?必要な手続きや期間をわかりやすく解説」で解説しておりますため、ご覧ください。

保護者が今からできる3つの行動

就労に向けて、ご家庭でできる具体的なアクション3つを紹介します。

ここまで読んで、「じゃあ、今日から私は何をすればいいの?」と思われたお母さん、お父さん。

特別なことをする必要はありません。

ご家庭でできる、就労に向けた一番の準備は「毎日の生活」の中にあります。

  • 家庭で生活スキルを練習する|就労成功者に共通する力
  • 事業所の見学・体験に行く|確認すべき5つのポイント
  • 相談支援専門員と早めにつながっておく

家庭で生活スキルを練習する|就労成功者に共通する力

就職して長く活躍している子たちの共通点は、パソコンのスキルが高いことでも、計算が速いことでもありません。

「基本的な生活習慣が身についていること」、これに尽きます。

職場でもっとも重視されるのは、以下のような力です。

  • 決まった時間に起きる、寝る
  • 自分から「おはようございます」と挨拶ができる
  • 身だしなみを整える(服の汚れ、寝癖など)
  • 使ったものを片付ける

「洗濯物をたたむ」「食後の食器を下げる」など、家の中で役割を与えて、

できたら思いっきり褒めてあげてください。

それが、働く意欲の原点になります。

事業所の見学・体験に行く|確認すべき5つのポイント

インターネットで調べるだけでなく、実際に事業所へ足を運んで「空気感」を肌で感じてください。

百聞は一見にしかず、です。

見学の際は、以下の5つをチェックしましょう。

  • スタッフの表情:笑顔で挨拶してくれるか、利用者さんに丁寧な言葉遣いをしているか。
  • 本人が楽しそうか:ここの雰囲気がお子さんに合いそうか、直感を大切に。
  • 作業内容:本人が興味を持てそうな作業があるか。
  • 通いやすさ:送迎の有無やルート。
  • 他の利用者の様子:落ち着いて作業できているか。

岡BASEでは、随時無料見学・1日体験を受け付けています。

資格を持ったスタッフが優しく丁寧に指導しますので、

「うちの子にできるかな?」と不安な場合も、まずはご相談ください。

PC作業の見学はもちろん、私たちの「明るく、楽しい」雰囲気を感じていただけると思います。

無料見学・体験を予約する →

どのような人が利用しているかについては「就労継続支援B型はどんな人が利用するの?対象者や利用メリットをわかりやすく解説」で解説しておりますため、ご覧ください。

相談支援専門員と早めにつながっておく

進路に関して迷ったとき、最強の味方になるのが「相談支援専門員」です。

福祉サービスを利用するための計画を作ってくれる専門職で、地域の事業所情報にも詳しいです。

まだつながっていない場合は、お住まいの市区町村の障害福祉課や基幹相談支援センターに問い合わせてみてください。

また、18歳を境に担当の窓口や制度が変わることもあるので、早めに情報を得ておくと安心です。

特別支援学校の就職に関する相談窓口と経済的支援

困った時に頼れる公的な相談先や、経済的な支援制度について解説します。

「もし就職できなかったらどうなるの?」

「生活費はどうなるの?」

そんな不安を一人で抱え込まないでください。

頼れる窓口も、経済的な支えも、ちゃんと用意されています。

  • 就職の相談ができる3つの公的窓口
  • B型工賃と障害年金を組み合わせた収入シミュレーション

就職の相談ができる3つの公的窓口

学校の先生以外にも、就職に関する相談ができる専門機関があります。

役割が少しずつ違うので、状況に合わせて活用しましょう。

相談窓口 こんな時に相談 特徴
ハローワーク
(障害者専門窓口)
求人を探したい 障害者雇用枠の求人を豊富に持っています。専門の相談員が仕事探しをサポートします。
地域障害者職業センター 適性を知りたい 職業能力評価や、ジョブコーチによる定着支援など、専門的なサポートが受けられます。
障害者就業・生活支援センター 仕事と生活を支えてほしい 就職相談だけでなく、生活リズムやお金の管理など、生活面の困りごとも一緒に相談できる心強い味方です。

B型工賃と障害年金を組み合わせた収入シミュレーション

「B型は工賃が安いから食べていけない」という声をよく聞きます。

確かに工賃だけでの自立は難しいですが、障害年金などの公的支援を組み合わせることで、

地域での自立生活は十分に可能です。

月収シミュレーション(例)

内訳 収入の目安 備考
障害基礎年金(2級) 約68,000円 20歳から受給可能
B型事業所の工賃 約23,000円 全国平均(令和5年度)
特別障害者手当 約28,000円 ※要件に該当する場合
合計 約119,000円

グループホームを利用する場合、家賃補助が出ることもあります。

「グループホームで暮らしながら、日中はB型に通う」というスタイルで、

親元を離れて自立されている方はたくさんいらっしゃいます。

工賃の詳細については「就労継続支援B型工賃(賃金)はいくら?平均額や仕組み、高い事業所の特徴を解説」で解説しておりますため、ご覧ください。

保護者同士でつながれる!「サービス管理者と話せるコミュニティー」

一人で悩まず、気軽に話せる場所があります。

「聞かないと教えてもらえない」「調べないと分からない」「そもそも何を聞けばいいのか分からない」。

だけど日々の生活に追われてしまう…。

そんな時、岡BASEピーシーラボの運営するコミュニティで情報を得たり、相談してみませんか?

コミュニティの特徴

  • 必要な情報をわかりやすく:制度やサービスの違いなど、複雑な話を噛み砕いてお伝えします。
  • 安心して相談できる環境:同じ悩みを持つ保護者や、専門スタッフと気軽につながれます。
  • 実例から学べる情報:実際に社会に出た先輩たちの事例や、現場の生の声を知ることができます。

コミュニティで得られる「4つの重要なポイント」

コミュニティでは、卒業後の生活について特に重要な4つのテーマを中心に情報共有しています。

テーマ 内容
01 どこで過ごすか 卒業後の進路、一般就労の可能性、福祉サービスの違いなど
02 お金 将来の経済的な備え、障害年金、工賃、親なき後への備えなど
03 生活と自立 親元を離れる準備、住まいの確保、移動手段、余暇の過ごし方
04 相談先 卒業後のネットワーク、相談支援専門員の役割、トラブル時の対応

これまでの開催報告(Vol.1)

2024年1月には、支援学校に通うお子様のご家族にお集まりいただき、座談会形式のイベントを開催しました。

「相談支援員さんや市役所への問い合わせは敷居が高い」

「聞いても十分な情報が得られないことがある」

といった切実なご意見も伺い、皆で一緒に考えるとても貴重な場となりました。

「卒業後のサービスの流れがひと目で分かるチャートが欲しい」とのご要望を受け、現在わかりやすい資料も作成中です。

普段の疑問や不満まで、いろんな話をしてみませんか?

サービス管理者と話せるコミュニティーの詳細はこちら →

特別支援学校の就職に関するよくある質問

保護者の方からよくいただく質問にお答えします。

  • Q1. 知的障害が重くても働ける?
  • Q2. 卒業すると何が変わるの?
  • Q3. 障害者手帳がないと福祉サービスは使えない?
  • Q4. 就職してすぐ辞めてしまったら?

Q1. 知的障害が重くても働ける場所はある?

A. あります。

B型事業所や生活介護事業所では、それぞれのペースに合わせて社会参加できる活動を用意しています。

まずは見学で、どんな作業があるか見てみてください。

Q2. 卒業すると何が変わるの?(相談先・法律)

A. 相談支援員さんが変わる可能性が非常に高いです。

基本的には「18歳の誕生日」が大きな区切りとなります。法律が「児童福祉法」から「障害者総合支援法」に変わるためです。

  • 18歳未満:「障害児相談支援」
  • 18歳以上:「計画相談支援(特定相談支援)」

相談支援事業所にもよりますが、基本的にはどちらか一方のみ(児童か大人)を専門としている場合が多いため、担当が変わることが一般的です。

参考:18歳の壁

Q3. 障害者手帳がないと福祉サービスは使えない?

A. 手帳がなくても利用できる場合があります。

医師の診断書や意見書があれば、受給者証が発行され、サービスを利用できるケースがあります。

まずは自治体の窓口にご相談ください。

対象者については「就労継続支援B型の対象者は?精神障害や手帳なしでも利用できるケースを解説」で解説しておりますため、ご覧ください。

Q4. 就職してすぐ辞めてしまったらどうなる?

A. 人生が終わりではありません。

すぐにB型事業所や就労移行支援に戻り、リスタートできます。

「一度合わなかっただけで、次は合うかもしれない」。

そう前向きに捉えて、何度でも挑戦できる仕組みがあります。

岡BASEが運営する株式会社トカクでは、グループ全体で皆様のライフステージに合わせたサポートを行っています。

特別支援学校の就職はゴールではなく新しいスタート

ここまで、特別支援学校卒業後の進路についてお話ししてきました。

私が一番伝えたいのは、「就職=成功」ではないということです。

もちろん、一般就労で活躍することは素晴らしい目標です。

でも、B型事業所で自分のペースで毎日笑顔で過ごすことも、

生活介護で穏やかな時間を重ねることも、

すべてお子さんにとっての立派な「成功」であり、輝かしい未来の始まりです。

どうか、親御さんだけで悩まないでください。

学校の先生、地域の相談員、そして私たちのような事業所スタッフ。

たくさんの味方がいます。

まずは情報を集め、実際に見て、

お子さんが「ここなら楽しそう」と笑ってくれる場所を一緒に探していきましょう。

岡BASEでは、特別支援学校卒業後の進路に悩む保護者の方からのご相談をいつでも受け付けています。

「ちょっと話を聞いてみたい」だけでも大歓迎です。

あなたとお子さんの新しい一歩を、私たちが全力でサポートします。

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