障害や病気が理由で社会へ踏み出す行動がとてつもなく重く感じてしまう方にとって、最初から「就職」を目指すことは、想像以上に高いハードルに思えるかもしれません。自立訓練と就労移行支援は、どちらも障害のある方の社会参加を後押しする大切なサービスですが、その「目的」も「支援内容」も大きく異なります。
この記事では、自立訓練と就労移行支援の違いを比較表を交えながら分かりやすく解説します。さらに、「どちらのサービスも、今の自分には精神的・体力的に少しプレッシャーが大きい」と感じる方に向けた、「自分自身のペースを最優先にできる3つ目の方法」についても詳しくお伝えします。
最後まで読んでいただくことで、ご自身にとって一番無理のない、安心できる次の行き先がどこにあるのかが、すっきりと整理できているはずです。
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自立訓練と就労移行支援の違いを一目で理解|3サービス比較表
まずは全体のイメージを掴んでいただくために、自立訓練と就労移行支援、そして3つ目のサービスである「就労継続支援B型」の違いを分かりやすく比較表にまとめました。ご自身の今の状況と照らし合わせながら、全体像を把握してみてください。
- 比較表で見る|自立訓練・就労移行支援・B型の違い
- 目的・ゴールの違い|生活の土台か、就職か、働く体験か
- 支援内容の違い|何を学び、何を身につけるのか
比較表で見る|自立訓練・就労移行支援・B型の違い
| 項目 | 自立訓練(生活訓練) | 就労移行支援 | 就労継続支援B型 |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 自立した日常生活を送るための土台作り | 一般企業への就職と定着 | 自分のペースで「働く体験」を積む |
| 対象者 | 生活リズムや身の回りの管理に不安がある方 | 2年以内に一般企業で働きたいという意欲がある方 | 年齢や体力面で一般就労が困難な方、働くことに不安がある方 |
| 年齢制限 | なし | 原則65歳未満 | なし(18歳以上) |
| 利用期間の目安 | 原則2年 | 原則2年 | 制限なし |
| 利用料 | 前年所得に応じた負担(多くが無料) | 前年所得に応じた負担(多くが無料) | 前年所得に応じた負担(多くが無料) |
| 工賃(給与) | 原則なし | 原則なし | あり(作業の対価として支給) |
| 通所頻度 | 週数日〜(体調に合わせて調整可) | 週3〜5日(就労に向けた安定通所が必要) | 週1日、短時間から自分の体調優先で可能 |
この表を見て、「今の自分にはどれが一番無理なく通えそうか」と、少しだけイメージが湧いてきたでしょうか。もし「B型」に安心感を覚えたなら、それはご自身の体に合った素直なサインかもしれません。
目的・ゴールの違い|生活の土台か、就職か、働く体験か
それぞれのサービスは、ゴールとして見据えている場所が異なります。
- 自立訓練:「自立した生活を送れるようになること」を最優先の目的としています。朝起きて身支度をする、健康的に過ごすといった、生活の土台をじっくり固める期間です。
- 就労移行支援:「一般企業への就職」という明確なゴールを持っています。すでに生活リズムが一定整っており、「これから働きに出るぞ」という準備段階にある方が利用します。
- 就労継続支援B型:「自分のペースで働く体験を積むこと」が目的です。生活の土台作りに不安がある方や、いきなり厳しい訓練に通うのはプレッシャーが強いと感じる方が、無理なく社会との接点を持つための温かい場所になります。
支援内容の違い|何を学び、何を身につけるのか
目指すゴールが違えば、日々の支援内容も大きく変わってきます。
自立訓練では、通院や服薬の管理、お買い物の練習、掃除や洗濯といった日常の生活スキルから、人との適切なコミュニケーション方法まで、ご自身のペースで生きていく上で必要な基礎を学びます。
就労移行支援では、より実践的なビジネススキルを身につけます。パソコンの操作、ビジネスマナー、履歴書の書き方や面接対策、そして実際の企業での職場実習など、就職活動に直結する訓練を行います。
就労継続支援B型では、実際の作業(パソコンの軽作業や部品の仕分けなど)を通じて、「働く感覚」を少しずつ取り戻していきます。訓練というよりは、体調を第一にしながら「できる範囲で作業をして、その分の工賃を受け取る」という実践的な体験ができるのが大きな違いです。
自立訓練(生活訓練)とは|生活の土台を整えるサービス
「自立訓練」と聞くと少し硬い言葉に聞こえますが、本質はとてもシンプルで、ご自身の生活をより豊かにするためのサービスです。どのような方が対象で、どういった条件で利用できるのか、分かりやすく解説していきます。
- 自立訓練の対象者と利用条件
- 自立訓練の利用期間と利用料
自立訓練の対象者と利用条件
地域での単独生活を目指している方や、昼夜逆転してしまった生活リズムを整えたい方、また家事などの日常生活スキルに不安がある方が対象となります。
利用にあたっては、必ずしも障害者手帳を持っている必要はありません。医師の診断書や自立支援医療受給者証などがあれば、自治体の判断で利用できることが多くあります。また、年齢制限がないため、誰でも必要なタイミングでいつでも支援を受けられるのが特徴です。
自立訓練の利用期間と利用料
利用期間は原則として2年間(長期入院など特別な事情があれば3年間)と定められています。この限られた期間の中で、専門のスタッフと一緒に生活の基盤をゆっくりと作っていきます。
費用の面ですが、前年の世帯所得に応じて自己負担の上限額が決まっており、実際には多くの方が無料で利用されています。なお、自立訓練はあくまで「生活する力を身につける訓練」であるため、作業に対して支払われる工賃は原則としてありません。
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就労移行支援とは|一般就労を目指すサービス
「いずれは一般企業で活躍したい」という強い気持ちを後押しするのが就労移行支援です。ここでは、具体的な対象者や利用条件について見ていきましょう。
- 就労移行支援の対象者と利用条件
- 就労移行支援の利用期間と利用料
就労移行支援の対象者と利用条件
対象となるのは、原則65歳未満で、一般企業への就労が見込まれる方です。障害のある方だけでなく、過去に就職経験があり、うつ病などで離職してしまった方の「再就職のステップ」としても広く利用されています。
企業で働くことを前提としているため、事業所によっては週3日〜5日など、一般の職場に近い一定の通所頻度が求められることが多いです。そのため、ある程度体力が回復してきている方に適しています。
就労移行支援の利用期間と利用料
自立訓練と同様に、利用期間は原則2年間です。この2年という期限内に、新しいスキルの習得から企業への応募、そして面接から内定獲得までを目指します。
利用料金も同じく前年所得に応じた自己負担上限があり、多くの方が無料で利用されています。また、就労移行支援も「就職活動のための訓練の場」であるため、工賃は原則として支払われない仕組みになっています。
自立訓練と就労移行支援どちらを選ぶ?3つの判断基準
それぞれの特徴は分かったけれど、「結局、今の自分はどちらを選べばいいの?」と迷ってしまいますよね。そこで、ご自身に一番合っているサービスを見極めるための3つの判断基準をご紹介します。ご自身の心と体に問いかけながら確認してみてください。
- 判断基準1. 今の生活リズムは安定しているか
- 判断基準2. 就職への意欲と準備はあるか
- 判断基準3. どちらも不安と感じていないか
判断基準1. 今の生活リズムは安定しているか
もっとも重要なのが、現在の生活リズムです。
- 生活リズムが不安定:「昼夜逆転の生活が続いている」「外出が体力的・精神的にかなりつらい」という状況であれば、焦らずまずは自立訓練で生活の土台を固めることが先決です。
- 生活リズムが整っている:「毎日なんとか決まった時間に起きられる」「週に数日は安定して外に出かけられる」という状況であれば、就労移行支援の利用も現実的な進路に入ってきます。
判断基準2. 就職への意欲と準備はあるか
「2年以内に必ず仕事を見つけたい」という明確な目標と前向きな意欲がある方は、迷わず就労移行支援が向いています。
もし、「働きたい気持ちはあるけれど、今はまだ働く自分の姿がはっきりと想像できない」「まずは人と関わることに慣れることから始めたい」と感じているのであれば、就労より手前にある自立訓練を選ぶことで、過度なプレッシャーを感じずに済みます。
判断基準3. どちらも不安と感じていないか
生活リズムも少し不安だし、いきなり2年という期限のもとで就職を目指すのも重圧に感じる……。
「自立訓練も就労移行支援も、正直言ってどちらも不安」「いきなり通い始めるのはハードルが高すぎる」と感じる方は、実はとても多いのです。
そう感じるのは、決して後ろ向きなことではなく、ごく自然なことです。もし「どちらもまだ早い気がする」と感じているなら、無理に2つのうちから選ぶ必要はありません。そんな方にこそ知っていただきたいのが、「就労継続支援B型」という3つ目のやさしい場所なのです。
どちらもまだ早いと感じたら|就労継続支援B型という選択肢
「どちらのサービスも早い」と感じることは、決して恥ずかしいことでも、後れを取っていることでもありません。ご自身の心と体のペースを大切に守ろうとしている確かな証拠です。ここでは、そんな慎重な方にこそぴったりと合う「就労継続支援B型」について詳しく解説していきます。
- B型なら自分のペースで働く体験ができる
- B型から自立訓練・就労移行支援へのステップアップ事例
- 岡崎市で自分のペースで始めたい方へ|岡BASE ピーシーラボ
B型なら自分のペースで働く体験ができる
就労継続支援B型の最大の特徴は、「雇用契約を結ばない」ということです。
雇用契約がないからこそ、週1日・1日数時間からといった、本当に無理のないペースで通い始めることができます。
自立訓練との違いは、「実際の作業を通じて工賃(お金)をもらいながら働く体験ができる」点です。厚生労働省が発表した最新のデータによると、令和5年度の就労継続支援B型の全国平均工賃は、月額で23,053円です。
また、就労移行支援のように「2年以内に必ず結果を出さなければいけない」という利用期限のプレッシャーがないため、体調優先で、その日のご自身の状態に合わせた通所が可能なのです。
なお、就労継続支援B型の基本的な仕組みやA型との違いについては、「就労継続支援B型とは?仕事内容から工賃、A型との違いも分かりやすく解説」で解説しておりますため、ぜひご覧ください。
B型から自立訓練・就労移行支援へのステップアップ事例
「B型に行くということは、もう一般就労は諦めるということ?」と誤解される方がいますが、決してそんなことはありません。他の素晴らしいB型事業所様も同じように考えられていますが、B型は終着点ではなく、次へ進むための「準備ステーション」としても機能します。
まずはB型で生活リズムを整え、少しずつ働く感覚とご自身の自信を取り戻してから、「よし、次はもう少し本格的に訓練してみよう」と自立訓練や就労移行支援へ力強くステップアップしていく方は大勢いらっしゃいます。「岡BASE ピーシーラボ」でも、そのように次のステージへ進まれる方の背中を、職員一同で見送ってきました。B型は、焦らず着実に階段を上るための、とても優しい期間なのです。
岡崎市で自分のペースで始めたい方へ|岡BASE ピーシーラボ
愛知県岡崎市にある就労継続支援B型事業所「岡BASE ピーシーラボ」は、まさにそんな「ご自身のペース」を最優先にできる温かい場所です。
事業所の特徴をいくつかご紹介します。
- パソコンの解体や梱包といった専門的な技術が身につく
- 事業所内にノルマは一切なく、精神的・体力的なプレッシャーがない
- 温かく栄養満点な手作りの昼食(220円)をご提供
- ご自宅周辺からの送迎サービスで通所の負担を大幅に軽減
- 無理のない作業でありながら時給300円〜(能力給あり)の仕組み
通われる方の体調を何よりも重視しているため、「今日は少ししんどいから午前中だけにしたい」といったご相談をいつでもご遠慮なくお伝えいただけます。
「少しだけ話を聞いてみたい」というだけでも構いません。まずは実際の雰囲気を肌で感じていただくために、気軽に見学にいらっしゃいませんか?
岡BASE ピーシーラボでのパソコンを活用したお仕事内容のイメージについては、「就労継続支援B型でパソコン作業|未経験OKの仕事内容と選び方を紹介します」でさらに詳しく解説しております。
自立訓練と就労移行支援は併用できる?
「生活の土台も整えたいし、仕事の練習もしたい。ふたつのサービスを同時に通えないの?」という疑問を持つ方も少なからずいらっしゃいます。ここでは、サービスの併用に関するルールを明記しておきます。
- 併用の可否と自治体による判断
併用の可否と自治体による判断
原則として、自立訓練と就労移行支援を同時に併用することは難しいとされています。ただ、宿泊型の自立訓練施設を利用しながら就労移行支援に通うケースなど、一部例外として認められることもあります。
最終的な判断は各自治体によって異なるため、ご希望される際は必ずお住まいの市区町村の窓口や相談支援専門員に確認をしてください。もし併用が難しく、どちらかに絞りきれないときは、やはり柔軟な通所ができるB型事業所を足がかりにするステップアップ方式を利用することが、もっとも確実な方法と言えます。
利用開始までの流れ|相談から契約まで
どのサービスを選ぶにしても、利用を開始するまでの基本的なステップは共通しています。これから福祉サービスを利用される方に向けて、3つの手順で分かりやすく解説します。
- ステップ1. 相談支援専門員に相談する
- ステップ2. 事業所を見学・体験する
- ステップ3. 受給者証を取得し契約する
ステップ1. 相談支援専門員に相談する
まずは、市区町村の障害福祉課や、地域の相談支援事業所に連絡を取ります。
「自立訓練か就労移行支援かで迷っている」「正直、どちらも不安で決められない」と、今の真っ直ぐな気持ちをそのまま伝えていただいてまったく問題ありません。相談は無料ですので、一人で抱え込まずに専門家に思いを話してみてください。
ステップ2. 事業所を見学・体験する
相談を進めながら、気になった事業所の見学や体験利用に行きましょう。
パンフレットやインターネットの情報だけでは、その場所の「空気感」や「スタッフの雰囲気」は分かりません。複数の事業所を比較して、「ここなら無理なく通えそう」と感じる場所を見つけることが大切です。
愛知県岡崎市の「岡BASE ピーシーラボ」でも見学・体験を随時受け付けていますので、複数の事業所を見る中の一つとしてお気軽にお越しください。
ステップ3. 受給者証を取得し契約する
通いたい事業所が決まったら、市区町村に「障害福祉サービス受給者証」の申請を行います。
手続きが難しそうだと不安に感じるかもしれませんが、相談支援専門員や事業所のスタッフがしっかりとサポートします。
なお、受給者証の具体的な取得の流れについては、「受給者証について」でも詳しく解説していますのでご参考にしてください。受給者証が無事に交付されれば、必要書類を準備して事業所と正式に契約を結び、利用開始となります。
よくある質問
最後に、利用を検討されている方からよく聞かれる素朴な疑問にお答えします。少しでも気になっている点を解消する材料にしていただければ幸いです。
- Q. 障害者手帳がなくても利用できますか?
- Q. 途中でサービスを変更できますか?
- Q. 利用料金はいくらですか?
- Q. 見学だけでも大丈夫ですか?
Q. 障害者手帳がなくても利用できますか?
A. はい、医師の診断書や意見書、自立支援医療受給者証などがあれば、自治体の判断によりサービスを利用できるケースがたくさんあります。まずは市区町村の窓口に気軽に相談してみることを強くおすすめします。
Q. 途中でサービスを変更できますか?
A. はい、ご自身の状況に合わせてサービスの変更は可能です。例えば、B型事業所に通って自信がついた後、就労移行支援へステップアップするといった変更も柔軟に行えますのでご安心ください。
Q. 利用料金はいくらですか?
A. 前年の世帯所得に応じて自己負担の上限額が設定されます。実際には、多くの方が自己負担なし(無料)でサービスをご利用されています。詳細は市区町村の障害福祉課にお問い合わせいただけます。
Q. 見学だけでも大丈夫ですか?
A. はい、見学だけでも大歓迎です。実際の雰囲気を確認してから利用を検討される方がほとんどです。ご自身が安心できる場所かどうか、まずは見学で体感してみてください。岡BASE ピーシーラボでも、いつでも温かくお迎えいたします。
まとめ|焦らず、自分に合った場所を見つけよう
自立訓練は「無理のない生活の土台づくり」を、就労移行支援は「一般就労に向けた実践的な訓練」を目指す場所です。そして、そのどちらも不安に感じるのであれば、就労継続支援B型で「働く体験」からゆっくり始めるという方法があります。
一番大切なのは、他の誰でもない「今の自分自身」に合った無理のない選択をすることです。インターネットの情報だけで決めるのではなく、焦らず、まずは見学や相談という身近な行動から始めてみましょう。
「ちょっと、話を聞いてみたい」
そう思ってくださったなら、ぜひお気軽にお問い合わせください。お電話でも、もちろん大丈夫です。あなたにとって一番居心地のよい場所が、きっと見つかるはずですよ。




