「就労継続支援B型を利用したいけど、自分は対象者に該当するのだろうか?」
「障害者手帳を持っていないけど、利用できるのだろうか?」
こうした不安を抱えている方は、本当に多くいらっしゃいます。
就労継続支援B型は、一般企業での就労が難しい障害のある方が、自分のペースで働きながら社会参加できる大切な福祉サービスです。しかし、対象者の条件や利用方法について、正確な情報を得られずに困っている方が多いのが現状です。
この記事では、厚生労働省が定める就労継続支援B型の対象者の条件を、サービス管理責任者の視点から分かりやすく解説します。就労経験がない方、障害者手帳を持っていない方でも利用できる具体的な方法や、自分が対象者かどうかを判断できるチェックリストもご用意しました。
記事を読み進めることで、自分が対象者に該当するかどうかが明確になり、次に取るべき行動が見えてくるはずです。ぜひ最後までお読みいただき、自分らしい働き方を見つけるきっかけにしてください。
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就労継続支援B型の対象者とは
就労継続支援B型の対象者について、正確に理解することは、サービス利用を検討する上で最も重要なポイントです。
「自分は本当に対象になるの?」という不安を持つ方は多いですが、実はこの制度は思っている以上に幅広い方が利用できる仕組みになっています。
まずは、厚生労働省が定める公式な基準から見ていきましょう。
- 厚生労働省が定める就労継続支援B型対象者の基準
- 就労継続支援B型の目的とサービス内容
- 就労継続支援A型との対象者の違い
厚生労働省が定める就労継続支援B型対象者の基準
就労継続支援B型の対象者は、障害者総合支援法に基づき、「通常の事業所に雇用されることが困難な就労経験のある障害のある方」と定められています。
具体的には、以下の4つの条件のいずれかに該当する方が対象となります。これは厚生労働省が定める公式な基準であり、全国どの自治体でも共通の基準として適用されています。
| 条件 | 対象となる方 |
|---|---|
| ① | 就労経験があり、年齢や体力の面で一般企業での雇用が困難な方 |
| ② | 就労移行支援を利用した結果、B型が適当と判断された方 |
| ③ | 50歳以上で障害のある方、または障害基礎年金1級受給者 |
| ④ | 障害者支援施設入所者で、市区町村が必要性を認めた方 |
重要なのは、「4つすべてに該当する必要はない」という点です。どれか1つの条件を満たしていれば、対象者として認められる可能性があります。また、障害の種類も問われません。
身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病など、さまざまな障害のある方が利用しています。
就労継続支援B型の目的とサービス内容
就労継続支援B型の目的は、一般就労が困難な方に対して、就労の機会と生産活動の場を提供することです。
最大の特徴は、雇用契約を結ばない非雇用型である点です。そのため、利用者は「従業員」ではなく、「作業の対価として工賃を受け取る」という形になります。
厚生労働省が発表した最新のデータによると、令和5年度の就労継続支援B型の全国平均工賃は、月額で23,053円です。
サービス内容としては、以下のような特徴があります。
- 柔軟な利用時間: 週2〜3日、1日3〜4時間といった短時間利用も可能
- 多様な作業内容: 事業所によって、軽作業、清掃、パソコン作業、農作業など様々
- 無理のないペース: 体調や障害の特性に合わせて、自分のペースで働ける
- 社会参加の機会: 働くことで社会とつながり、自信や生きがいを持てる
就労継続支援B型とは何か、より詳しく知りたい方は「就労継続支援B型とは?仕事内容から工賃、A型との違いも分かりやすく解説」で解説しておりますため、ご覧ください。
就労継続支援A型との対象者の違い
就労継続支援には、A型とB型の2種類があります。対象者の違いを理解することで、自分にどちらが適しているかの判断材料になります。
| 項目 | A型 | B型 |
|---|---|---|
| 雇用契約 | あり | なし |
| 収入 | 最低賃金以上の給与 | 工賃(平均月額23,053円) |
| 利用時間 | 比較的固定的 | 柔軟に調整可能 |
| 対象者 | 雇用契約を結べる就労能力のある方 | 一般企業での就労が困難な方 |
| 年齢制限 | 原則18歳以上65歳未満 | 原則18歳以上(上限なし) |
A型は、雇用契約を結び、最低賃金以上の給与が保障される一方で、比較的安定した就労能力が求められます。一方、B型は雇用契約がないため工賃は低めですが、体調や障害の特性に合わせて柔軟に働けるという大きなメリットがあります。
「自分にはどちらが合っているのだろう?」と迷っている方は、「就労継続支援A型B型の違いがわからない方向け!給料や仕事内容を比較してどちらが向いているか判断できるポイントを解説」で解説しておりますため、ご覧ください。
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就労継続支援B型対象者の4つの条件
就労継続支援B型の対象者には、厚生労働省が定める4つの条件があります。
「どれか1つに該当すれば対象者として認められる」というのが、この制度の特徴です。つまり、すべての条件を満たす必要はなく、自分の状況に合った条件に当てはまれば利用できる可能性があるということです。
それぞれの条件について、具体的に見ていきましょう。
- 就労経験があり年齢や体力で一般企業での雇用が困難な方
- 就労移行支援を利用した結果B型が適当と判断された方
- 50歳以上の方または障害基礎年金1級受給者
- 特別支援学校卒業後や施設入所者で市区町村が認めた方
就労経験があり年齢や体力で一般企業での雇用が困難な方
過去に一般企業で働いた経験があり、現在は年齢や体力の面で一般企業での就労が困難になった方は、就労継続支援B型の対象者として認められます。
この条件が設けられているのは、かつては働いていたものの、加齢や障害の進行、体力の低下などにより、一般企業の就労環境を維持することが難しくなった方を支援するためです。こうした方々は、働く意欲やスキルは持っているものの、フルタイム勤務や長時間労働が体力的に困難になっているケースが多く見られます。
就労継続支援B型では、雇用契約がないため、週2〜3日の利用や、1日3〜4時間の短時間利用といった柔軟な働き方が可能です。
これにより、無理なく働き続けることができ、社会とのつながりを保ちながら収入を得ることができます。
就労移行支援を利用した結果B型が適当と判断された方
就労移行支援を一定期間利用したが、一般就労に結びつかなかった方も、就労継続支援B型の対象者となります。
就労移行支援とは、一般企業への就職を目指すための訓練を行う福祉サービスです。最大2年間利用できますが、すべての方が一般就労に至るわけではありません。
訓練を経て、「まだ一般就労は難しい」と判断された方は、スムーズにB型に移行できる仕組みになっています。
また、「暫定支給決定」という制度を利用すれば、就労移行支援を経験していない方でも、最大3ヶ月の体験利用を通じて、B型が適しているかどうかをアセスメント(評価)してもらうことができます。
ポイント
就労移行支援の利用経験がない方でも、暫定支給決定を利用することで、B型の対象者になれる可能性があります。詳しくは、お住まいの市区町村の障害福祉窓口にご相談ください。
障害基礎年金1級受給者
障害基礎年金1級を受給している方は、就労経験や就労移行支援の利用経験がなくても、就労継続支援B型の対象者として認められます。
この条件は、特に配慮が必要な方々への支援を目的としています。新たに就労訓練を受けるよりも、すぐに働ける環境を提供する方が適している一方で、障害基礎年金1級受給者の方は、障害の程度が重く、一般就労や就労訓練が困難な状態にあることが認められているためです。
そのため、これらの条件に該当する方は、比較的スムーズにB型の利用を開始できます。
特別支援学校卒業後や施設入所者で市区町村が認めた方
特別支援学校を卒業した方や、障害者支援施設に入所している方で、市区町村が就労継続支援B型の利用が適当と認めた方も対象者となります。
特別支援学校を卒業したばかりの方は、まだ社会経験が少なく、いきなり一般就労を目指すのは難しいケースがあります。そうした方々が、まずはB型で働く経験を積み、徐々に自信をつけていくことができる仕組みになっています。
また、施設入所者の方も、施設内だけでなく、地域の事業所で働く機会を持つことで、社会とのつながりを強め、将来的な地域生活への移行を目指すことができます。
あなたは対象者か今すぐ確認できる自己診断チェックリスト
「自分は本当に対象者に該当するのだろうか?」という不安を解消するために、今すぐ確認できる自己診断チェックリストをご用意しました。
このチェックリストを使えば、相談窓口に行く前に、ある程度の目安を知ることができます。
- 対象者判定のための10のチェック項目
- チェックリストの結果の見方と次の行動
- 自己診断で不明な点があるときの相談先
対象者判定のための10のチェック項目
以下の10項目のうち、該当する項目が多いほど、就労継続支援B型の対象者となる可能性が高くなります。まずはチェックしてみましょう。
□ 1. 何らかの障害(身体・知的・精神・発達・難病など)がある、または診断を受けている
障害者手帳を持っていなくても、医師から診断を受けている方も含みます。
□ 2. 障害者手帳を持っている、または医師の診断書を取得できる
手帳がなくても、主治医に診断書を書いてもらえる状態であれば問題ありません。
□ 3. 働きたいという意欲がある
収入を得たい、社会とつながりたい、スキルを身につけたいなど、働く理由は何でも構いません。
□ 4. 週に2〜3日以上、事業所に通所できる体力や体調がある
毎日でなくても、定期的に通所できる見込みがあればOKです。
□ 5. 一般企業でのフルタイム勤務(週5日・1日8時間)が難しい
体調の波、対人関係への配慮、体力的な理由など、理由は問いません。
□ 6. 過去に一般企業で働いた経験がある、または就労移行支援を利用したことがある
経験がなくても、他の条件で対象者になれる方もいます。
□ 7. 18歳以上である
就労継続支援B型は、原則18歳以上の方が対象です。
□ 8. 50歳以上である、または障害基礎年金1級を受給している
この条件に該当する方は、就労経験がなくても対象者になれる可能性があります。
□ 9. 自分のペースで無理なく働きたいと考えている
ノルマや厳しい目標に縛られず、自分らしく働きたい方に適しています。
□ 10. 将来的には一般就労を目指したいが、今はまだ準備段階だと感じている
B型は、将来的なステップアップの準備期間としても利用できます。
チェックリストの結果の見方と次の行動
チェック項目の結果から、次の行動を考えてみましょう。
| 該当項目数 | 判定 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 7〜10個 | 対象者の可能性が非常に高い | すぐに市区町村の障害福祉窓口または相談支援事業所に相談しましょう。事業所の見学や体験利用を申し込むのもおすすめです。 |
| 4〜6個 | 対象者の可能性がある | まずは市区町村の障害福祉窓口に相談して、詳しい条件を確認しましょう。暫定支給決定を利用できる可能性もあります。 |
| 1〜3個 | 他のサービスの方が適している可能性がある | 就労継続支援A型や就労移行支援など、他の福祉サービスの方が適している可能性があります。相談支援事業所で総合的なアドバイスを受けましょう。 |
| 0個 | 現時点では対象外の可能性が高い | 一般就労や、障害者雇用での就職を目指す方が良いかもしれません。ただし、今後の状況変化によっては対象者となる可能性もあるため、定期的に見直しましょう。 |
重要なのは、このチェックリストはあくまで「目安」であり、最終的な判断は市区町村が行うという点です。
チェック項目が少なくても、個別の事情によっては対象者と認められることもありますので、まずは相談してみることが大切です。
自己診断で不明な点があるときの相談先
チェックリストを使っても、「自分が対象者かどうかよく分からない」という方もいらっしゃるでしょう。そんなときは、以下の相談先に問い合わせてみてください。
| 相談先 | 対応内容 |
|---|---|
| 市区町村の障害福祉窓口 | 受給者証の申請方法、対象者の条件、必要書類などを教えてもらえます。 |
| 相談支援事業所 | あなたの状況に合った福祉サービスを提案してくれます。サービス等利用計画の作成も依頼できます。 |
| 就労継続支援B型事業所 | 事業所の見学や体験利用を通じて、実際の雰囲気や作業内容を確認できます。 |
| 主治医や医療機関 | 診断書の作成や、自分の障害の状態について相談できます。 |
特に、相談支援事業所は、福祉サービス全般の専門家ですので、「自分にはどのサービスが合っているのか分からない」という方にとって、非常に頼りになる存在です。
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就労継続支援B型の対象外になるケースと対処法
就労継続支援B型は幅広い方が利用できるサービスですが、中には対象外と判断されるケースもあります。
ここでは、どのようなケースで対象外となるのか、そして対象外になった方にはどのような対処法があるのかを解説します。
- 対象外と判断される主なケース
- 対象外になった方が利用できる他のサービス
- 再申請や見直しができる条件
対象外と判断される主なケース
就労継続支援B型の対象外と判断される主なケースは、次の3つです。
ケース1: フルタイムで一般就労が可能な方
体調が安定しており、週5日・1日8時間のフルタイム勤務が可能な方は、就労継続支援B型よりも、一般就労または就労継続支援A型の方が適していると判断されることがあります。
たとえば、身体障害のある方で、車いすを使用しているものの、体力的には問題なく、パソコンスキルも高い方がいました。この方は、就労継続支援B型を希望しましたが、アセスメントの結果、「一般就労またはA型での就労が可能」と判断されました。最終的には、障害者雇用枠で一般企業に就職し、安定した収入を得ることができました。
この方は、B型の対象外となったことで、むしろ本人にとってプラスの結果となりました。B型の工賃よりも高い収入を得られるようになったためです。
ケース2: 就労そのものが困難な方
障害の程度が重く、週に数日でも事業所に通所することが困難な方、または作業そのものに取り組むことが難しい方は、就労継続支援B型よりも、生活介護サービスの方が適していると判断されることがあります。
生活介護は、日常生活の支援を中心としたサービスで、就労を目的としていません。入浴、食事、排せつなどの介護や、創作活動、レクリエーションなどを通じて、生活の質を向上させることを目的としています。
対象外になることは、決してネガティブなことではありません。それは「より適したサービスがある」というメッセージであり、より良い支援につながるための判断なのです。
ケース3: 対象年齢に該当しない方
就労継続支援B型は、原則として18歳以上の方が対象です。18歳未満の方は、児童福祉法に基づく他のサービス(放課後等デイサービスなど)を利用することになります。
また、65歳以上の方は、介護保険制度が優先されるため、介護保険サービスの対象となるケースがあります。ただし、65歳前から継続して利用している方や、介護保険サービスでは対応できない方は、引き続きB型を利用できることもあります。
対象外になった方が利用できる他のサービス
就労継続支援B型の対象外と判断された方も、他の福祉サービスを利用できる可能性があります。
| サービス名 | 対象者 | 内容 |
|---|---|---|
| 就労継続支援A型 | 雇用契約を結べる就労能力のある方 | 雇用契約を結び、最低賃金以上の給与を得ながら働く |
| 就労移行支援 | 一般就労を目指す方 | 最大2年間、就職に向けた訓練やサポートを受ける |
| 生活介護 | 常時介護が必要な方 | 入浴、食事、排せつなどの介護と、創作活動やレクリエーション |
| 地域活動支援センター | 障害のある方 | 創作活動や生産活動、交流の場を提供 |
| 一般就労(障害者雇用) | 一定の就労能力のある方 | 企業の障害者雇用枠で働く |
どのサービスが自分に適しているかは、相談支援事業所や市区町村の障害福祉窓口で相談することで、専門的なアドバイスを受けることができます。
再申請や見直しができる条件
一度対象外と判断されても、状況が変わった時には再申請や見直しができます。
- 体調や障害の状態が変化したとき: 体調が悪化した、障害の程度が重くなったなどの変化があった時は、改めて申請できます。
- 他のサービスを利用した後: 就労移行支援を利用したが一般就労に至らなかった、A型を利用したが体調の理由で継続が困難になったなどの時は、B型への移行を申請できます。
- 年齢が50歳に達したとき: 50歳未満で対象外だった方も、50歳に達することで、新たな条件に該当する可能性があります。
- 障害基礎年金1級を受給するようになったとき: 当初は2級だったが、状態が悪化して1級に変更された時などは、対象者の条件に該当します。
再申請の際には、主治医の診断書や、他のサービスの利用実績などを示すことで、市区町村による判断がスムーズに進むことがあります。
障害種別ごとの就労継続支援B型対象者の具体例
就労継続支援B型は、障害の種類や程度に関わらず、幅広い方が利用できるサービスです。
「自分の障害でも利用できるのだろうか?」という不安を持つ方も多いですが、実際には精神障害、発達障害、知的障害、身体障害、難病など、さまざまな障害のある方が利用しています。
ここでは、障害種別ごとに、実際にどのような方が対象者となるのか解説します。自分と似たケースを見つけることで、「自分も利用できそうだ」という安心感につながるはずです。
- 精神障害のある方の対象者例
- 発達障害のある方の対象者例
- 知的障害のある方の対象者例
- 身体障害のある方の対象者例
- 難病のある方の対象者例
精神障害のある方の対象者例
うつ病、統合失調症、双極性障害、不安障害などの精神障害のある方は、就労継続支援B型の利用者の中でも最も多い割合を占めています。
精神障害のある方の多くは、体調の波があったり、対人関係やストレスに敏感だったりするため、一般企業でのフルタイム勤務が難しいケースが多く見られます。しかし、適切な環境とサポートがあれば、働く能力や意欲は十分に持っています。
就労継続支援B型では、利用日数や時間を柔軟に調整できるため、体調の良い日に無理なく働くことができます。また、スタッフが精神障害の特性を理解しており、配慮のある環境で作業に取り組めることも大きなメリットです。
具体例
30代でうつ病を抱えている方がいました。この方は、精神障害者保健福祉手帳2級を持っており、以前は正社員として働いていましたが、うつ病が悪化して退職しました。その後、少し体調が回復してきたものの、毎日決まった時間に起きることや、長時間の勤務が難しい状態でした。
この方は就労継続支援B型を利用することで、週3日、1日4時間という無理のない範囲で働けるようになりました。作業はパソコンでのデータ入力が中心で、対人接触も少ないため、ストレスを感じることなく取り組めているそうです。
発達障害のある方の対象者例
ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如・多動症)、LD(学習障害)などの発達障害のある方も、就労継続支援B型の対象者となります。
発達障害のある方は、特定の作業には高い集中力を発揮する一方で、マルチタスクや臨機応変な対応が苦手だったり、コミュニケーションに困難を感じたりすることがあります。一般企業では、こうした特性への理解が不足しているため、働きづらさを感じることが多いのが現状です。
就労継続支援B型では、本人の特性に合わせた作業内容や環境を用意できるため、無理なく働くことができます。
具体例
20代でASDのある方がいました。この方は、特別支援学校を卒業後、一般企業に就職しましたが、複数の指示を同時に受けることや、急な予定変更に対応することが難しく、1年で退職しました。
就労継続支援B型を利用することで、一つひとつの作業を丁寧に取り組める環境を得られました。
特に、パソコンの解体作業は、手順が明確で繰り返しの作業が多いため、本人の特性にぴったり合っていたそうです。今では、スタッフからも「正確で丁寧な仕事ぶり」と信頼されています。
知的障害のある方の対象者例
知的障害のある方も、就労継続支援B型の主要な利用者です。
知的障害のある方は、抽象的な概念の理解や複雑な判断が難しいことがありますが、繰り返しの作業や、具体的で分かりやすい指示があれば、安定して働くことができます。
就労継続支援B型では、一人ひとりの理解度に合わせて、丁寧に指導を行うため、安心して作業に取り組める環境があります。
具体例
30代で知的障害のある方がいました。この方は、特別支援学校を卒業後、すぐに就労継続支援B型を利用し始めました。最初は、簡単な梱包作業から始め、徐々にできることを増やしていきました。
現在では、商品の仕分けや清掃作業など、複数の作業をこなせるようになり、スタッフや仲間からも頼りにされる存在になっています。本人も「毎日仕事に行くのが楽しい」と話しているそうです。
身体障害のある方の対象者例
身体障害のある方も、就労継続支援B型の対象者となります。
身体障害のある方は、移動や身体的な作業に制限があることが多いですが、知的な能力は高く、座り作業やパソコン作業には問題がないケースが多いです。しかし、一般企業では、バリアフリー環境が整っていなかったり、通勤が困難だったりするため、就労のハードルが高いのが現状です。
就労継続支援B型では、車いすでも利用できるバリアフリー環境や、送迎サービスを提供している事業所も多く、安心して働くことができます。
具体例
40代で下肢障害のある方がいました。この方は、車いすを使用しており、通勤や長時間の立ち仕事が困難でした。以前は一般企業で事務職として働いていましたが、会社の移転により通勤が困難になり、退職しました。
就労継続支援B型を利用することで、送迎サービスを利用して通所し、座ったままできるパソコン作業や軽作業に取り組めるようになりました。週4日、1日5時間という働き方で、無理なく働いています。
難病のある方の対象者例
難病のある方も、就労継続支援B型の対象者となります。
難病とは、原因不明で治療方法が確立されていない疾患のことで、パーキンソン病、潰瘍性大腸炎、クローン病、全身性エリテマトーデスなど、さまざまな疾患が指定されています。
難病のある方は、体調の波が大きかったり、通院や治療が必要だったりするため、一般企業でのフルタイム勤務が難しいケースが多いです。しかし、体調の良い日は働きたいという意欲を持っている方も多くいらっしゃいます。
就労継続支援B型では、体調に合わせて柔軟に利用日数や時間を調整できるため、無理なく働き続けることができます。
具体例
50代でクローン病のある方がいました。この方は、以前は会社員として働いていましたが、病状の悪化により退職しました。体調の良い日は働きたいという気持ちがあったため、就労継続支援B型の利用を開始しました。
現在は、週2〜3日、1日3時間という短時間の利用で、体調に合わせて無理なく働いています。通院日には休むこともでき、スタッフも病状を理解して配慮してくれるため、安心して通所できているそうです。
愛知県岡崎市でパソコン作業に興味のある方へ
岡BASE ピーシーラボでは、パソコンの解体・部品分別、HDD解体、梱包作業、清掃作業など、PC専門店「PC堂」と連携した本格的な作業を行っています。
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どんな作業内容か気になる方は「岡BASE ピーシーラボの作業内容」をご覧ください。
障害者手帳がなくても就労継続支援B型の対象者になれる
「障害者手帳を持っていないと、B型は利用できないのでは?」
この不安を持つ方は本当に多いです。
しかし、安心してください。実は手帳がなくても利用できる方法があります。
手帳の取得には数ヶ月かかることもあり、その間に働く意欲が薄れてしまったり、生活が困窮してしまったりすることもあります。
そうした状況を避けるため、厚生労働省は手帳がなくても利用できる仕組みを整えています。
- 手帳なしで利用できる条件
- 医師の診断書や意見書の準備方法
- 手帳なしで利用した方の実例
手帳なしで利用できる条件
障害者手帳がなくても、医師の診断書または意見書があれば、就労継続支援B型を利用することができます。
障害者手帳の取得には、申請から交付まで数ヶ月かかることがあり、その間に利用開始が遅れてしまうと、本人の就労意欲が低下したり、生活が困窮したりする恐れがあります。
そのため、厚生労働省は、手帳がなくても、医師の診断書があれば障害福祉サービスを利用できる仕組みを整えています。
ただし、自治体によっては対応が異なることがありますので、事前に市区町村の障害福祉窓口に確認することをお勧めします。
医師の診断書や意見書の準備方法
手帳なしで就労継続支援B型を利用するには、主治医に診断書または意見書を書いてもらう必要があります。
診断書の準備手順
- 主治医に相談する: まずは、通院している医療機関で、主治医に「就労継続支援B型を利用したい」と相談します。
- 診断書の作成を依頼する: 主治医に、障害の状態や就労の困難さを記載した診断書を書いてもらいます。診断書の形式は、市区町村によって指定されている場合もあるため、事前に窓口で確認しておくと良いでしょう。
- 診断書の費用: 診断書の作成には、通常3,000円〜5,000円程度の費用がかかります。保険適用外のため、自己負担となります。
- 診断書を市区町村に提出する: 作成された診断書を、障害福祉サービス受給者証の申請時に市区町村に提出します。
手帳なしで利用した方の実例
具体例
30代でうつ病と診断されたばかりの方がいました。この方は、精神障害者保健福祉手帳の申請をしましたが、交付までに3ヶ月程度かかると言われました。
しかし、すぐに働く場を確保したいという希望があったため、主治医に診断書を書いてもらい、手帳なしで就労継続支援B型の申請を行いました。
市区町村は、診断書の内容を確認し、「就労継続支援B型の利用が適当」と判断したため、手帳がなくても受給者証が交付されました。この方は、手帳の交付を待つことなく、スムーズに利用を開始することができ、体調の回復にもつながったそうです。
就労継続支援B型対象者が利用開始するまでの流れ
就労継続支援B型の対象者として認められた後、実際に利用を開始するまでには、いくつかのステップがあります。
「手続きが複雑そうで不安」と感じる方も多いですが、相談支援事業所や市区町村の職員がサポートしてくれますので、初めての方でも安心して進めることができます。
ここでは、相談から利用開始までの具体的な流れを解説します。一つひとつ丁寧に進めていけば、必ず利用を開始できますので、焦らずに取り組んでいきましょう。
- 相談から利用開始までの5つのステップ
- 各ステップで必要な書類と手続き
- 利用開始までの期間と注意点
相談から利用開始までの5つのステップ
就労継続支援B型の利用開始までには、次の5つのステップがあります。
ステップ1: 市区町村窓口または相談支援事業所に相談
まずは、お住まいの市区町村の障害福祉窓口、または地域の相談支援事業所に相談します。「就労継続支援B型を利用したい」と伝えれば、必要な手続きや書類について詳しく教えてもらえます。
このとき、障害者手帳または医師の診断書を持参すると、話がスムーズに進みます。また、自分の障害の状態や、どのような働き方を希望しているのかを伝えることで、より適切なアドバイスを受けることができます。
ステップ2: 事業所の見学・体験利用
利用を検討している就労継続支援B型事業所を見学したり、体験利用したりします。事業所によって、作業内容や雰囲気が大きく異なるため、実際に自分の目で確かめることが大切です。
見学時には、以下のポイントをチェックしましょう。
- 作業内容は自分に合っているか
- スタッフの対応は丁寧か
- 利用者の雰囲気は良いか
- 送迎サービスはあるか
- 昼食の提供はあるか
- 工賃はどれくらいか
ステップ3: 障害福祉サービス受給者証の申請
利用したい事業所が決まったら、市区町村に「障害福祉サービス受給者証」の申請を行います。この受給者証がないと、B型を利用することはできません。
申請には、以下の書類が必要です(自治体によって異なる可能性があります)。
- 障害福祉サービス受給者証交付申請書
- 障害者手帳または医師の診断書
- サービス等利用計画案(相談支援事業所が作成)
- マイナンバーカードまたは通知カード
- 印鑑
ステップ4: 市区町村によるアセスメント(評価)
申請後、市区町村の職員が、本人や家族と面談を行い、障害の状態や生活状況、就労への希望などを聞き取ります。これをアセスメント(評価)と言います。
アセスメントの結果、就労継続支援B型の利用が適当と判断されれば、受給者証が交付されます。交付までには、通常1〜2ヶ月程度かかります。
ステップ5: 事業所と利用契約を結び、利用開始
受給者証が交付されたら、利用したい事業所と正式に利用契約を結びます。契約時には、利用日数や時間、送迎の有無、個別支援計画などを話し合い、合意した内容に基づいて利用を開始します。
最初は週1〜2日から始めて、徐々に日数を増やしていくことも可能です。自分のペースで無理なく始めましょう。
各ステップで必要な書類と手続き
利用開始までに必要な主な書類と手続きをまとめます。
| ステップ | 必要な書類・手続き |
|---|---|
| ステップ1: 相談 | 障害者手帳または医師の診断書(あれば) |
| ステップ2: 見学・体験 | 特になし(事前予約が必要な事業所が多い) |
| ステップ3: 受給者証申請 | 申請書、障害者手帳または診断書、サービス等利用計画案、マイナンバー、印鑑 |
| ステップ4: アセスメント | 市区町村職員との面談(本人の希望や状況を伝える) |
| ステップ5: 利用契約 | 受給者証、印鑑 |
利用開始までの期間と注意点
相談から利用開始までの期間は、通常2〜3ヶ月程度です。ただし、以下の要因によって前後することがあります。
- 障害者手帳の有無: 手帳がない方は、診断書の準備に時間がかかることがあります。
- 市区町村の審査: 自治体によって、審査にかかる時間が異なります。
- 事業所の空き状況: 人気のある事業所は、すぐに利用できないこともあります。
利用開始を急ぐ方は、早めに相談を開始し、並行して複数の事業所を見学しておくことをおすすめします。
注意点
受給者証の申請から交付までの間も、事業所の見学や体験利用は可能です。待っている間に、自分に合った事業所を見つけておくと、交付後スムーズに利用を開始できます。
岡BASE ピーシーラボでは見学・体験利用を随時受付中
愛知県岡崎市の就労継続支援B型事業所「岡BASE ピーシーラボ」では、見学・体験利用を随時受け付けています。
「どんな作業をするのか見てみたい」「自分に合っているか試してみたい」という方は、お気軽にお問い合わせください。スタッフが丁寧にご案内いたします。
利用の流れについても、分かりやすくご説明いたしますので、初めての方もご安心ください。詳しくは「ご利用の流れ」をご覧ください。
就労継続支援B型対象者に関するよくある質問
ここでは、就労継続支援B型の対象者に関して、特に多く寄せられる質問にお答えします。
- 就労継続支援B型はどんな人が対象ですか
- 就労支援B型は誰でも入れますか
- 就労継続支援A型はどんな人対象ですか
- B型事業所はどんな人が利用できますか
- 就労継続支援B型の対象年齢は何歳から何歳までですか
- 就労継続支援B型の工賃の平均はいくらですか
- 途中でA型に移行できますか
就労継続支援B型はどんな人が対象ですか
A: 一般企業での就労が困難だが、働く意欲と能力がある障害のある方が対象です。
就労継続支援B型は、雇用契約を結ばない非雇用型のサービスであり、体調や障害の特性に合わせて、無理のないペースで働くことができる環境を提供しています。
そのため、フルタイム勤務が難しい方や、対人関係に配慮が必要な方、体調の波がある方など、一般企業での就労が困難な方を幅広く受け入れています。
就労支援B型は誰でも入れますか
A: 誰でも入れるわけではありません。厚生労働省が定める対象者の条件に該当する必要があります。
具体的には、
- 就労経験がある方
- 就労移行支援を利用した方
- 50歳以上または障害基礎年金1級受給者
- 特別支援学校卒業者や施設入所者で市区町村が認めた方、
のいずれかに該当する必要があります。また、障害者手帳または医師の診断書も必要です。
就労継続支援A型はどんな人対象ですか
A: 雇用契約を結べる就労能力のある障害のある方が対象です。
A型は、B型よりも高い就労能力が求められます。具体的には、週5日・1日4〜6時間程度の勤務が可能で、最低賃金以上の給与に見合う作業能力がある方が対象となります。
年齢制限も、原則18歳以上65歳未満とされています。
A型とB型の違いについて詳しく知りたい方は「就労継続支援A型B型の違いがわからない方向け!給料や仕事内容を比較してどちらが向いているか判断できるポイントを解説」で解説しておりますため、ご覧ください。
B型事業所はどんな人が利用できますか
A: 一般企業での就労が困難な障害のある方で、厚生労働省が定める対象者の条件に該当する方が利用できます。
障害の種類は問いません。身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病など、さまざまな障害のある方が利用しています。
また、障害者手帳がなくても、医師の診断書があれば利用できます。
詳しくは「就労継続支援B型はどんな人が利用するの?対象者や利用メリットをわかりやすく解説」で解説しておりますため、ご覧ください。
就労継続支援B型の対象年齢は何歳から何歳までですか
A: 原則として18歳以上の方が対象で、年齢の上限は設けられていません。
18歳未満の方は、児童福祉法に基づく他のサービスを利用します。
また、65歳以上の方は、介護保険制度が優先されるため、介護保険サービスの対象となることがありますが、65歳前から継続して利用している方や、介護保険サービスでは対応できない方は、引き続きB型を利用できることもあります。
就労継続支援B型の工賃の平均はいくらですか
A: 厚生労働省が発表した最新のデータによると、令和5年度の全国平均工賃は月額23,053円です。
ただし、工賃は事業所や利用状況によって大きく異なります。
週5日・1日5時間利用している方は、月額40,000円以上の工賃をもらっているケースもあれば、週2日・1日3時間の利用で、月額5,000円程度という方もいます。
工賃について詳しく知りたい方は「就労継続支援B型の工賃の平均はいくら?令和最新データで知るお金と事業所の選び方」で解説しておりますため、ご覧ください。
途中でA型に移行できますか
A: はい、B型からA型へのステップアップは可能です。
B型で働きながら、作業スキルを磨き、体調管理の方法を身につけ、「もっと働きたい」「収入を増やしたい」という意欲が高まった時、A型への移行を検討することができます。
ただし、A型への移行には、雇用契約を結べる就労能力が必要です。そのため、A型事業所での面接や実習を経て、「この方なら雇用契約を結んで働ける」と判断されることが条件となります。
まとめ: 就労継続支援B型対象者の条件を理解して相談窓口へ問い合わせよう
この記事では、就労継続支援B型の対象者の条件について、厚生労働省の基準から具体的な事例まで、詳しく解説してきました。
最も重要なポイントは、「自分は対象者に該当するかも」と少しでも感じたら、まずは相談してみるということです。
対象者の条件は、一見すると複雑に見えますが、実際には以下の4つのいずれかに該当すれば利用できる可能性があります。
- 就労経験があり、年齢や体力で一般企業での雇用が困難な方
- 就労移行支援を利用した結果、B型が適当と判断された方
- 50歳以上の方、または障害基礎年金1級受給者
- 特別支援学校卒業後や施設入所者で、市区町村が認めた方
また、障害者手帳がなくても、医師の診断書があれば利用できること、障害の種類を問わず幅広い方が対象となることも、覚えておいてください。
就労継続支援B型は、一般企業での就労が難しい方にとって、自分のペースで働きながら社会とつながり、自信を育むことができる貴重な場所です。
この記事を読んで、「自分も対象者かもしれない」と感じた方は、ぜひ次のステップに進んでみてください。
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