特別支援学校へお子さんを通わせていると、ふと将来の進路について検索し、「人生終わり」といった心ない言葉を目にして、言葉にならない不安を感じてしまうことはないでしょうか。
「このままでは、進学どころか就職も厳しいのでは…」と悩むお気持ちは、決して特別なものではありません。
結論からお伝えすると、特別支援学校高等部から大学へ進学する道は決して閉ざされていません。
たしかに一般的なルートとは異なりますが、「大学受験資格の仕組み」さえ正しく理解すれば、大きく分けて3つのルートから大学進学を目指すことができます。
実際に、福祉の現場で利用者の方々と接する中で、大学進学を真剣に検討したのちに、就労継続支援という別の道を選んだ方を間近で見てきました。
深く悩んで検討したからこそ、納得して次のステップへ進めている姿がありました。
まずは進学という道を諦めず、情報を集めて検討してみることをおすすめします。
ここからは、特別支援学校高等部から大学進学を目指すための具体的なルートや、3年間のロードマップを分かりやすく解説していきます。お子さんに合った進学や就労の形を見つけるためのヒントとして、本記事をご活用ください。
特別支援学校高等部から大学進学できるのか|実態をデータで確認
特別支援学校高等部に在籍していると、「本当に大学へ進学した先輩はいるのだろうか」「無謀な挑戦ではないか」と疑問に思うことも多いかと思います。
データや現場の実体験を踏まえると、進学者は全体から見れば少数派ですが、確実に存在しています。
まずは、実際の進学状況や、同じように進路を考えた方々の声を見ていきましょう。
- 障害種別で見る大学進学の実態
障害種別で見る大学進学の実態
文部科学省が公表している学校基本調査などのデータを見ると、特別支援学校高等部卒業後の進路として、大学や短期大学へ進学する層が一定数いることがわかります。
特に視覚障害や聴覚障害、肢体不自由のある生徒では、大学側の受け入れ体制も年々整備されており、進学を目指すのも珍しくありません。
一方で、知的障害教育部門からの一般的な大学進学は難易度が高くなる傾向にあります。
しかし、独自の受け入れ枠や特別プログラムを用意している大学も少しずつ増えてきています。
割合としては少なくても、「前例が少ないから無理」と諦める必要はないという事実を知っていただければと思います。
大学受験資格と特別支援学校高等部の関係
特別支援学校高等部から大学進学を目指す上で、最も高い壁として立ちはだかるのが「そもそも大学を受験できるのか」という受験資格の問題です。
この仕組みが複雑なため、途中で諦めてしまう方も少なくありません。
ここでは、高等学校との違いや、受験資格が認められる3つのパターンについてわかりやすく整理します。
ここを理解しておけば、どうすれば受験できるのかが見えてきます。
- 特別支援学校高等部の卒業資格は高卒と同じではない
- 大学ごとに受験資格の扱いが違う3つのパターン
特別支援学校高等部の修了者にも大学入学資格はある|ただし募集要項の確認は必須
まず押さえておきたい大切な点として、文部科学省の「大学入学資格について」では、大学入学資格を有する者の一つとして「特別支援学校の高等部を修了した者」が明記されています。
そのため、特別支援学校高等部を修了したからといって、一律に大学受験ができないわけではありません。
一方で、大学・学部・入試方式によっては募集要項の表現が「高等学校卒業者」中心になっていたり、出願時の確認事項が細かく定められていたりすることがあります。実務上は、志望校の入試窓口に早めに確認することが大切です。
なお、特別支援学校卒業後の専門学校への進学については「特別支援学校の進路はどう決める|卒業後6つの選択肢を比較」で解説しておりますため、ご覧ください。
大学入学資格は法令上の整理が基本|その上で志望校ごとの出願要件を確認する
大学入学資格は、各大学が自由に決めるというよりも、学校教育法や文部科学省の整理に基づいて判断されます。
そのうえで、実際の受験では、大学・学部・入試方式ごとに募集要項の記載や必要書類、事前相談の要否が異なるため、志望校ごとの確認が必要です。
また、大学入学共通テストを利用する場合は、共通テスト側の出願手続や配慮申請の締切も別に確認する必要があります。特に受験上の配慮は申請期限や提出書類が定められているため、早めの準備が重要です。
大学受験資格の壁を知り、「難しすぎるかもしれない…」と不安を感じることもあるはずです。
進路の悩みは深く、どうしてもご家庭だけで孤独に抱え込みがちになります。
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特別支援学校高等部から大学進学する3つのルート
「受験できるかどうかわからない」という疑問があったかと思いますが、その壁をクリアして大学進学を果たすための現実的な方法は存在します。
ここでは、特別支援学校高等部に在籍しながら、あるいは卒業後に大学受験資格を得るための「3つのルート」を解説します。
どのルートが一番負担が少なく、ご本人の状況に合っているか、一緒に整理していきましょう。
- ルート1. 高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)を取得する
- ルート2. 通信制高校への転入・編入で高卒資格を取得する
- ルート3. 大学の入学資格審査を直接利用する
ルート1. 高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)を取得する
最も一般的で、多くの方が挑戦するのが「高等学校卒業程度認定試験(いわゆる高卒認定)」を取得するルートです。
この試験に合格すると、「高等学校を卒業した者と同等以上の学力がある」と認定され、大学・短大・専門学校などの受験資格を得ることができます。
試験は年に2回実施され、国語や数学、外国語などの必須科目と選択科目を受験します。
最大のメリットは、特別支援学校高等部に「在学中」でも受験できる点です。
1年生の頃から計画的に勉強を進め、科目合格を積み重ねていくことで、高等部卒業と同時に大学受験へ臨むことが可能になります。
難易度も基礎的な内容が中心となるため、対策次第で十分に突破を狙える方法と言えます。
ルート2. 通信制高校への転入・編入で高卒資格を取得する
2つ目のルートは、通信制高校へ転入(または編入)し、正式な「高等学校卒業資格」を取得する方法です。
特別支援学校から通信制高校へ移り、必要な単位を修得することで、経歴としても「○○高等学校 卒業」と書けるようになります。
これにより、大学受験資格の悩みは完全に解消されます。
メリットは、レポート提出やスクーリングといった自分のペースに合わせた学習で、確実に高卒資格が得られる点です。
一方でデメリットとしては、転入するタイミングによっては卒業までに時間がかかってしまうことや、通信制高校への学費が別途必要になることが挙げられますので、ご家庭の状況に合わせて検討してみてください。
ルート3. 大学の入学資格審査を直接利用する
3つ目のルートは、志望する大学が独自に行っている「個別の入学資格審査」を利用する方法です。
これは、高卒認定試験や通信制高校の卒業といった公的な資格を使わずに、「これまでの特別支援学校での学びをもとに、受験資格を認めてもらえないか」と大学側に直接アプローチする手段です。
大学側が申請書類などを審査し、「高校卒業と同等以上の学力がある」と認めた時のみ、その大学(または学部)の受験が可能になります。
ただし、審査基準は大学によって大きく異なり、必ず認められるとは限りません。
このルートを検討する時は、早い段階で志望校の入試窓口へ直接電話などで問い合わせ、相談することが何よりも確実で重要になります。
特別支援学校高等部から大学進学を目指す3年間のロードマップ
3つのルートが分かったところで、「じゃあ、今から具体的に何を始めればいいの?」と思う方も多いですよね。
大学進学という目標を達成するには、早めの準備が欠かせません。
ここからは、特別支援学校高等部の3年間でやるべきことを時系列に沿ってロードマップ形式で解説します。
今ご自身がどの位置にいるのかを確認しながら見てみてください。
- 高等部1年生のうちにやること
- 高等部2年生のうちにやること
- 高等部3年生でやること
高等部1年生のうちにやること
高等部1年生の段階では、まず「情報収集」と「意思表示」に時間を使いましょう。
早い段階で担任の先生に「将来は大学進学も視野に入れている」と伝えることで、学校側もそれに合わせたアドバイスや学習のサポート体制を検討しやすくなります。
早く動けば動くほど、将来の幅は広がっていきます。
また、どのような大学があるのか調べながら、ルート1で紹介した「高卒認定試験」の過去問を見てレベルを確認したり、夏休みなどを利用して実際の大学のオープンキャンパスに足を運んでみたりすることをおすすめします。
少しずつで構いませんので、行動を始めてみましょう。
高等部2年生のうちにやること
高等部2年生になると、より具体的な行動が求められます。
ルート1を選ぶ時は、本格的に高卒認定試験の受験をスタートさせましょう。
一度に全科目合格する必要はないので、得意科目から確実にクリアしていく作戦が有効です。
また、志望校の候補が絞れてきたら、直接入試窓口に連絡を取り、「特別支援学校高等部からの受験資格の扱い(ルート3での審査可否など)」を必ず確認してください。
通信制高校の活用(ルート2)を検討している時は、この時期に資料請求を行い、転入先の候補をいくつかピックアップしておくことも大切です。
高等部3年生でやること
いよいよ勝負の高等部3年生です。スケジュール管理が合否を分けると言っても過言ではありません。
各大学の出願スケジュールから逆算し、願書や調査書などの必要書類の準備を進めます。
ルート3(個別の入学資格審査)を利用する時は、通常の出願期間よりもかなり前に審査書類を提出しなければならない大学がほとんどですので、各期限には十分に注意してください。
また、勉強や事務手続きで保護者の方も疲労が溜まりやすい時期でもあります。
学校の先生だけでなく、地域の相談支援専門員などとも密に連携をとり、ご家庭で抱え込まずにサポートを受けながら受験に臨む態勢を整えていきましょう。
進学までの3年間のロードマップを見て、「親だけですべての情報を集めてサポートするのは大変すぎる…」と感じた方もいらっしゃるでしょう。
実は、「聞かないと教えてもらえない」「市役所等への問い合わせは敷居が高い」と日々の生活に追われ、情報収集に限界を感じているご家族は非常に多くいらっしゃいます。
岡BASE ピーシーラボでは、こうした保護者の方々が一人で悩まずに情報交換ができる場として、「サービス管理者と話せるコミュニティー」を定期的に開催しています。
進学か就労かといった進路の悩みから、卒業後の生活(お金、住まい、相談先)のことまで、例を交えて分かりやすく情報共有を行っていますので、ぜひお気軽にご参加・ご相談ください。
大学進学後に受けられるサポート体制
ロードマップに沿って無事に大学へ進学できたとしても、「入学後、授業についていけるのか」「周りから浮いてしまわないか」といった不安がつきまとうかもしれません。
しかし、現在の大学には、障害のある学生をサポートする制度が少しずつ整ってきています。
入学してからも決して一人ではないという安心感を持っていただけるよう、具体的なサポート体制について紹介します。
- 受験時の特別措置を活用する
- 入学後に受けられる合理的配慮
受験時の特別措置を活用する
まず、入学後のベースとなる「受験時」の配慮について知っておきましょう。
多くの大学や共通テストでは、障害の特性に応じた「受験上の特別措置」を申請することができます。
例えば、試験時間の延長、別室での受験、問題用紙の拡大文字対応や点字対応などが挙げられます。
これらの配慮を受けることで、本来持っている実力をしっかりと発揮することができます。
ただし、医師の診断書の提出が必要だったり、事前の申請期限が厳格に定められていたりするため、募集要項が発表されたら真っ先に確認し、早めに申請準備に取り掛かることが大切です。
入学後に受けられる合理的配慮
入学後も、「合理的配慮」という形で継続的なサポートを受けられます。
現在、多くの大学には「障害学生支援室」などの専門窓口が設置されており、ここを中心に各授業での支援が行われます。
具体的には、聴覚障害がある学生へのパソコンを利用したノートテイク(要約筆記)の手配、視覚障害がある学生への教材データ化、発達障害がある学生に対する静かな環境でのレポート作成や個別の履修相談など、一人ひとりの困りごとに応じた配慮が検討されます。
オープンキャンパスに参加した際には、「この大学にはどのような支援実績があるか」「どんな配慮を申請できるか」を事前に用意した質問リストで確認しておくと、安心して次のステップへ進むことができます。
大学進学以外の現実的な選択肢
ここまで大学進学の道筋を解説してきましたが、様々な理由から「やはり大学進学は難しい」「別の道の方が本人の特性に合っていそう」と判断するケースも当然あります。
そんな時でも決して悲観する必要はありません。
大学進学以外でも、ご本人が自分らしく輝ける現実的で安心できる道は、しっかりと用意されています。
- 就職(一般就労・障害者雇用)
- 就労継続支援B型でスキルを磨きながら社会参加する
就職(一般就労・障害者雇用)
高等部卒業後、直接社会へ出て働くという道です。
現在、企業の障害者法定雇用率は段階的に引き上げられており、障害者雇用枠での求人は増加傾向にあります。
特別支援学校に在籍している間も実習などを通じて働く準備を行いますが、卒業後に「就労移行支援事業所」などを活用し、ビジネスマナーや専門的なスキルをじっくり身につけてから就職を目指すルートも非常に一般的です。
特別支援学校から就職する流れについては、「特別支援学校の就職は難しい?5つの進路と今日からできる準備」で解説しておりますため、ぜひご覧ください。
就労継続支援B型でスキルを磨きながら社会参加する
もう一つの有力な進路が、「就労継続支援B型」という福祉サービスを利用しながら社会参加をする道です。
就労継続支援B型とはどんな場所か、その全体像については「就労継続支援B型とは?仕事内容から工賃、A型との違いも分かりやすく解説」をお読みいただくと分かりやすいです。対象者などの条件についても「就労継続支援B型の対象者は誰?精神障害や手帳なしでも対象?仕事内容から事業所のポイントまで解説」で解説しておりますため、ご覧ください。
また、就労継続支援B型の平均工賃について、厚生労働省が発表した最新のデータによると、令和5年度の全国平均工賃は月額23,053円となっています。
参考:厚生労働省|令和5年度工賃(賃金)の実績について
工賃に関するさらに詳しい仕組みについては「就労継続支援B型の工賃の平均はいくら?令和最新データで知るお金と事業所の選び方」で解説しておりますため、ご覧ください。
例えば、愛知県岡崎市にある「岡BASE ピーシーラボ」は、パソコン専門店を運営する株式会社トカクを母体としており、本格的なパソコンの解体・部品分別やHDD解体・分別、PC部品の清掃作業などを専門知識ゼロから学ぶことができます。
地域の他のB型事業所でも、農作業やものづくりなどそれぞれ素晴らしい特色を持った支援が行われています。どの事業所が一番良いという決まりはなく、ご自身の興味やペースに最も合う場所を見つけることが大切です。
私たちの事業所では、体調やペースに合わせて週1日から無理なく通うことができ、過度なプレッシャーとなる作業ノルマは一切ありません。さらに、栄養バランスを考えた温かい昼食のお弁当(1食220円)の提供や、通所が不安な方に向けた自動車での送迎サービスも行っています。収入の状況にもよりますが、多くの方が実質無料で利用できる点もご家族にとっての大きな安心材料になります。
「大学進学を一度検討したけれど、最終的に就労継続支援を選んだ」という利用者の方の声にあるように、自分のペースで確実に自信を積み重ね、将来への足場固めをする場所として、この進路は非常に価値があります。
まとめ
この記事では、特別支援学校高等部から大学へ進学するための現実的な方法について解説してきました。
まずは「受験資格の壁と3つのルート(高卒認定・通信制高校・個別審査)を知る」、次に「自分の状況に合ったルートを選ぶ」、そして「ロードマップに沿って少しずつ行動を始める」というステップを踏むことが大切です。
進学を目指すことも、途中で就労支援などの別の道へ切り替えることも、どちらもお子さんに合った立派な未来の選択です。
どんな道を選んでも、必ず活路は開けます。
まずはご家庭で悩まずに、学校の先生や地域の支援機関へ「相談する」という行動から始めてみてください。
特別支援学校卒業後の生活全体にさらに不安がある方は、「特別支援学校卒業後の生活はどうなる?親子で読む準備の手引き
」で解説しておりますため、ご覧ください。
「うちの子にはどんな進路が合っているのだろう…」「PCスキルを活かせる道も見てみたい」など、少しでも迷いや疑問があれば、ぜひ一度岡BASEにご相談ください。
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